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INWESの地域ネットワーク会議であるAPNN (Asia & Pacific Nations Network) Meetingは、2017年に日本で開催を予定している。今回のAPNN Meetingには、アジア各国の出席者と交流・議論に加えて、2017年開催の準備に必要な項目を抽出・整理、開催に備えることを目的に参加した。 全体の参加者数としては、全部で173名(但し、直前にインド代表は来られなくなった)。日本からは11名、韓国からは7名、台湾からは6名、アメリカ・ドイツ・マレーシア・ネパールからは各1名、モンゴルからは144名の参加となった。
日本からの参加者:
女性科学者の会:今栄東洋子 国立台湾科技大学教授
女性技術士の会:木村了 理事、井本 郁子、山本敬子、千木良美由紀、宮地奈保子
日本女性技術者フォーラム:菅原香代子InwesJapan代表、仁田久美、永合由美子(事務局)、三原麻未(学生会員)
北川慶子:聖徳大学・聖徳大学短期大学部 心理福祉学部 社会福祉学科教授
Meeting of Asia and Pacific Nations Network & International Conference of Woman in Science, Technology, Engineering & Mathematics
Mongolian University of Science & Technology, Ulaanbaatar, Mongolia
1日目は、菅原香代子APNN議長、Ariunbolor Purvee WSTEM代表によるOpeningの後、各国からのCountry Reportが続いた。
韓国のKWSE代表 Seong Ok Han博士からは、昨年のAPNNの報告を含めて、非常に活発に活動されている様子が伺えた(KWSEメンバーは1456名、うち70%が博士号取得者)。台湾のChia-Li Wu博士からもメンター制度(sister site)や奨学金の活用報告があり、マレーシアの Wai Yie Leong博士はマレーシアで発行している機関誌やMovieも示し、活動の盛り上がりを力強く語ってくれた。
日本については、JAXA 仁田久美氏より、INWES-Japanの活動や、日本の女性研究者数目標と現実のGAPを説明。学生数も順調に増加している各国の積極的な取組に比較すると、日本は今後さらに遅れていく可能性が大きいと感じた。
仁田久美氏 発表の様子
モンゴルの大学では全体の人数が少ないせいもあって女性比率は上昇、女性教授は36%だが、准教授では53%、講師等では66-7%が女性。卒業生も全体のうち64%が女性、工学系の分野でも29%は女性が占める。この会議に参加している女子学生も積極的で、若いエネルギーにあふれていた。
2016年の開催は、他に候補がなかったこともあり、ニュージーランド(組織名:IPENZ Institution of Professional Engineers New Zealand)に決定。旅費の問題はあると思われるが、各国の積極的な参加を期待したい。
尚、この日の様子はモンゴルのTVニュースで翌日朝に放映され、菅原氏のインタビューの様子も報じられた。
6月26日午前には、教育科学省 L. Gantumur大臣、M. Batchimeg議員によるスピーチ(モンゴル語で行われたため、同時通訳のイヤホンを利用)に続き、Kong Joo Lee INWES代表のメッセージでオープニングセレモニーが行われた。今栄先生のキーノートスピーチを含む教育や技術の発展に関する話題、アメリカの革新プログラムやモンゴルの状況などについてプレゼンがあった。
Gail G. Mattson氏によれば、アメリカの34000人のメンバーのうち、半分は学生という。Innovative Programとして、どう女子学生に魅力的に見せるかを検討、保護者を含めたハンズオンセミナーやウェビナーを活用し10代前半の子供にもアプローチするアウトリーチ活動や、奨学金の取組が紹介された。
午後は、5つのセッション(Engineering & Technology, Medical Science, Social science and Humanities, Natural Science, Agriculture and Biotechnology)に分かれて、合計46件の発表があった。
三原 麻未(学生会員)
私は2日目のICWSTEMのSocial Science and Humanitiesというセッションにて,口頭発表を行いました.
このセッションには40件ほど応募があり,そのうち7件が口頭発表として選ばれました.私の発表タイトルは「How talented females slave in STEM field?-case study of Japan and Norway」でした.東京工業大学とノルウェー工科大学における,男女共同参画事情を,アンケート調査とヒアリング調査によって比較・検討しました.今回の会議参加国のGender Gap Indexも参考として発表しました.私が英語で発表したあと,モンゴルの方が通訳してくださったため,会場にいたモンゴルの方々にも発表内容を理解していただけて良かったです.
今回の会議に参加して印象的だったのが,
①日本の女性研究者はアジア諸国と比べても極端に少ないということと,
②モンゴルの男女共同参画が非常に進んでいるということです.
モンゴルの女性たちが,活発で堂々として,男女共同参画を積極的に推進している様子が感じ取れ,とても刺激になりました.
少し緊張した 発表の様子
この度は,国際会議参加のための補助をJWEFよりいただき,ありがとうございました.この場をお借りして,心より感謝申し上げます.貴重な経験ができ,世界の女性研究者と繋がるきっかけも得られました.本当にありがとうございました.
1.Welcome Reception
会場を別ホテルに移し、民族舞踊やコンサートを見ながら、参加者でネットワーキング。着物を着た日本人と写真を撮りたがる方々は多く、こうした点での文化貢献も重要と認識を新たにした。優秀な研究者を表彰するAwardのひとつとして、日本から参加した北川先生も、特別賞を受賞。随所にお土産や心遣いがあり、モンゴルの関係者の温かい気持ちに感謝するとともに、日本開催の際の準備の大変さに身の引き締まる思いだった。
2.28日のExcursion
13世紀村(テーマパーク)への片道2時間の小旅行は、実はトイレとの戦いだった。途中のショッピングモールは開店間もなく、設備がないという。ドアのないトイレをお互いの声掛けで使用したり、文化の違いを目の当たりにした。
どこまでも続く景色は雄大そのもの。簡易的なゲル住まいの生活を送る人々。馬やらくだに乗る体験や、モンゴル語で名前を書いてもらえるアトラクション、チンギスハーン記念館訪問、さらにはカシミア専門店での買い物など、本当に盛りだくさんの1日ツアーだった。至れり尽くせりのおもてなしに、感謝を表したい。
とにかく印象深いのは、空港に迎えに来てくれた学生さんはじめ、モンゴルの皆さんの温かさ、心遣いでした。もちろん、課題もあったと思いますが、とても一所懸命な姿に、感激しておりました。
そして、掛け声はかかるけれども、ゆっくりとしか進まない日本のGenderGapの現状に、さらに差が広がっていく予感がしています。2年後の日本開催に向けて、準備を進めなければと気持ちを新たにしました。
また、皆様のおかげで充実した時間を過ごせたことに感謝しています。参加者全員のみなさま、準備にかかわってくださったみなさま、心より御礼申し上げます。
INWES(International Network of Women Engineers and Scientists)は「STEM(科学・テクノロジー・エンジニアリング・数学)の分野において、女性/女子が参加することにより、よりよい世界の未来を実現する」をビジョンとし、また、その役割は「世界のSTEMの政策に、個人・組織・法人がより強い影響を与えることと、組織や専門家がグローバル・ネットワークを通して社会人女性と女子学生に対して、教育、就職、転職、支援、進歩を励ます」ことを目指しています。INWES JapanはINWESに所属する唯一の日本女性技術者・科学者団体のメンバーで、APNN会議は INWESの地域ネットワーク会議の位置付けです。
文責:永合 由美子(個人会員)
三原 麻未(学生会員)