【報告】第3回ロールモデルカフェ「私らしく働くということ」#JWEF

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運営委員 町田芽久美

5月14日(火)にオリンパス株式会社の唐木幸子さんをお迎えし、九段下のイタリア文化会館にて第3回ロールモデルカフェを開催いたしました。

概要

日時:
2013年5月14日(火)19:00-21:00

場所:
イタリア文化会館

ロールモデル:
唐木 幸子さん
オリンパス株式会社 研究開発センター 診断技術開発部 部長

参加者
会場20名(講師、会員13名、非会員6名)、Skype3名(会員)


唐木さんは京都市生まれ。薬学部を卒業後、細胞培養の専門性を買われオリンパス㈱の研究職に就かれました。1994年には医学博士を取得。1996年に41歳で出産された経験を綴った「小さな小さなあなたを産んで」で第19回カネボウヒューマンドキュメンタリー優秀賞を受賞、テレビドラマ化されました。2004年には日経ウーマンオブザイヤー大賞を受賞。2009年より現職。2011年には第2回津田梅子賞を受賞されています。

30分程度のお話の中では、1.自己紹介、2.異分野の研究所に就職してリーダーになるまで、3.自分らしく仕事を続けるにはどのように働くか、4.女性技術者活躍を願って大切だと思うこと、の順でご自分の実体験を交えてお考えを伺いました。
最後の5.女性技術者活躍を願って大切だと思うことでは、以下の4点を話されました。

・仕事を続けるこつ⇒辞めない事
・制度では人は育たない⇒何も考えずに乗るのでなく、女性が自分で考えること
・基本的労働意欲が重要⇒働き続ける意欲を持つ
・業務の最適化による登用促進の効率化⇒適性を見極め、腕を揮える仕事をアサインする

その後、参加者と唐木さんのフリーディスカッションの場を設けました。学生さん、子育て中の方、さらに自分のステップアップを目指している方、部下について悩んでいる方等、様々な質問に対しても、共感し親身にアドバイスをされる唐木さんが印象的でした。参加者の感想も「エネルギー溢れるお話に、明日からの活力を得ました」「女性として働くことに不安を感じていたが、今日のお話で勇気をもらいました」と非常に好評でした。私自身も太陽のような唐木さんから、沢山の元気を頂いた2時間でした。

運営については、会場の外が若干騒がしかった点があり、今後の会場選択の課題と考えています。

感想

ロールモデルカフェ 唐木幸子さん -自分に期待する-

東京工業大学 関 禎子

唐木さんの講演を聞き、元気にならない人はいなかったでしょう。公私ともに、様々なことを乗り越えられてきた経験に基づくお話で、更に小さい頃新聞記者になるのが夢だったというだけあって表現力豊かで非常に惹きつけられるものでした。

現在、オリンパス株式会社の研究開発センター診断技術開発部の部長をされている唐木さんですが、大学(薬学部)卒業時は未曾有の就職難、そんな中オリンパスの女性初の研究者として入社され、カメラ、顕微鏡等ハードウェア開発中心だった会社でバイオの実験研究を立ち上げられました。

入社6年目に、米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部に研究派遣され、帰国後はチームリーダー。「研究=言われた仕事をやるのではない!放っておかれたらラッキーと思えるか?」「成果は年に2回くらい。仕事は上手く行かなくてあたり前」という気構えで精力的に楽しんで仕事をされていました。そして40歳を超えて出産。それが29週のため超未熟児。母子共に危機的状況にありました。彼女の凄いところは、赤ちゃんがNICUにいる間、辛いからと仕事に戻られ、120%の仕事をされる。赤ちゃんがやっと退院したときに1年の育児休暇。この時がまた辛く、でも「書けばいい」と思い付いてやり出すと、指先から辛い思いがPCに出て行くように感じたと。このように、辛くて大変な時も、そのまま留まっていることなく、いつもプラス思考で行動に移す、これが彼女の強さだと思いました。この時書かれたものは、カネボウヒューマンドキュメンタリー優秀賞受賞、さらに日本テレビでドラマ化されました(『小さな小さなあなたを産んで』読売新聞社刊)。電車の中で、目を赤くしながら読ませていただきました。

唐木さんの意見では、女性として仕事を続けるコツは「辞めないこと」。そして会社に期待せず、自分に期待する。何かのせいにしてもどうにもならない。すべて自らの責任である。-大変説得力のある言葉でした。唐木さんを始め、日経ウーマンオブザイヤー大賞を受賞された方々のキャリア形成の軌跡を編集した『しびれるほど仕事を楽しむ女たち』(日本経済新聞社刊)も働く女性を元気づけてくれると思います。


唐木さん

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