第2回ロールモデルカフェ「部下のマネジメントに悩んだら」開催報告(2012年10月JWEF定例会)

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第2回ロールモデルカフェ「部下のマネジメントに悩んだら」を開催しましたので、報告いたします。

今回は、初めてSkypeを使って遠隔からの参加者を迎えることができました。スピーカーフォンを新たに導入し、本番二日前の日曜日に、2時間ほどかけてテストをしたことが功を奏し、実現したものです。育児や仕事、遠方のため会場に来られない参加者が、それぞれの場所からほとんど問題なく会話に参加することができました。今後、ほかの会合への応用も期待できそうです。

<概要>

日時:2012年10月30日(火)19:00-21:00
場所:イタリア文化会館(九段下)
今回のロールモデル:西田 薫さん 株式会社東芝 多様性推進部 きらめき企画担当
司会:山口 理栄(育休後コンサルタント)
参加者:会場での参加:7名、Skypeでの参加:3名(すべてJWEF会員)
内容:西田さんのお話(30分)質疑応答・フリーディスカッション(90分)

<詳細>
西田さんのお話は、次のような内容でした。

  1. 自己紹介(私のロールモデルとこれまでのキャリア)
  2. 思い出に残る上司
  3. 担当者と管理者の違い
  4. 部下や後輩との接し方
  5. 管理職になったら

西田さんはエンジニアとして入社以来、転籍や職場の異動、出向を経験され、技術部門からスタッフ部門という大きな変化の中で子育もしながらやってこられました。
その過程で、女性を一人前に扱う上司、子育て中に常に押し付けがましくない配慮を示してくれた上司など、素晴らしい上司に育てられたそうです。

ご自身が管理職を経験してきて、管理職前の女性の特徴「人に喜ばれる仕事はしたいが、責任がある仕事はしたくない」に対しては管理職の醍醐味である、人を育てる喜び、大きな仕事にチャレンジできることを知ってほしい、とアドバイスいただきました。

また、女性リーダーに対しては、うまくやろうとすると失敗する、理想の上司像は捨てること、部下をよく観察すること、といった心得を紹介されました。

管理職になって、「女性は正論をいう」ことが気になっていて、正しいことを主張するより、むしろ理不尽にどれだけ耐えられるかのほうが大事なのでは、という示唆に富んだお話もありました。

質疑応答・フリーディスカッションの時間には、参加者から感想や質問を出してもらい、それに対して西田さんだけでなくほかの参加者も自由に答えたり、意見を言ったりする形で進めました。この場で出たいくつかの話題を紹介します。

質問:職場で上司が仕事を全部自分でやってしまい、部下に任せないので困っている。
回答:ひまなときは自分のための勉強をしたり(研究職のため)、留学、転職などの選択肢があるならばそれも考えたらどうか。
アドバイス:「問題を自分でコントロールできることとできないことに分けて、コントロールできないことはあきらめ、できることに集中すること」

質問:上司に相談したいことがあるが、相手が忙しくて早朝か深夜以外の時間が空いていない。子育しているので早朝、深夜は難しい。
回答:その上司は気がついていないだけでは。ちゃんと事情を話して時間をとってもらうこと。

質問:パートナーの転勤があるかもしれず、その場合は仕事を辞めなければならない。どうしたらよいか。
回答:不安の先取りをせず、実際に決まってからその時点でベストな選択をすればよい。

フリーディスカッション:
・正論を振りかざす人(女性に多いといわれる)が批判される理由は、みんなも正論はわかっているのに、自分は正しい、あなたは間違っている、という態度を取るからではないか。
・正論でなく感情に訴えたほうがいいかもしれない。
・理不尽があたりまえという中でキャリアをスタートした。その中で事務職から技術職、というふうにやってきた。

最後に西田さんが、大学生になった子どもたちに「両親ふたりが働いていることをどう見ていた?」と聞いた結果を紹介してくれました。「さびしいと思ったことはない」「適度な親子の距離感が保てた」という答えだったそうです。いま子育て中の人へのメッセージは、親が厳しくあること、親として自分が正しいことをすることが大事、ということでした。

参加者の感想からは、Skypeで参加できてよかった、キャリアの考え方が参考になった、など、充実した時間に対する感謝の気持ちが感じられました。

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10/30 第2回ロールモデルカフェ「部下のマネジメントに悩んだら」に参加して

宇宙航空研究開発機構 永松 愛子

JWEFロールモデルカフェへの参加は、今回が初めてです。

30代後半になり、「個」の仕事から「チームマネジメントによるアウトプットの最大化」に視点や責任の比重が大きくシフトしつつあるのですが、部下育成については、社内では人数が少ないこともあり、30〜40代女性技術職の横通しの情報共有の機会がほとんどありません。今回のロールモデルカフェのトピックは常日頃学びたかった話題でしたので、絶好の機会となりました。

イタリア会館の会議室に集まった参加者は、6名と今回講師をして下った西田薫氏(写真1参照)。また今回初めての試みとなるSkype接続で、3名。合計10名にて、2時間のセッションでは時間が足りないほど、充実したカフェとなりました。

まず前半は、西田氏のこれまでの経験と気づきがまとめられた資料を使っての話題提供。何十冊分のビジネス書のエッセンスや重要なポイントがギュッとまとまった、一見の価値ありのプレゼンテーションです。後半は、参加者の自己紹介と関連したトピックや相談したい・コメントが欲しい課題について、共通の悩みや経験に基づいたアドバイスが飛び交い、「なるほど」と唸ることが何度もありました。

西田氏のプレゼンの中で、参加者全員が関心を示したのが「キャリアの考え方」と、「パワーゲームのルール」。「キャリアの考え方」では、初めて耳にする「川下り型」を聞いて選択肢が広がった思いでした。
-山登り型(目標を明確に設定してゴールに向かってよじ登る)
-川下り型(流れに身を任せて、分岐や選択がに迫られたらその時点で最適な解を選択して進むことを繰り返す。ライフイベントが多く、その負担が大きな女性のキャリアパスのひとつとして、あってもいい考え方ではないか)

また、男性社会の中で「正論」が通じず、理不尽に耐える場面で、どれだけ「パワーゲームのルール」をわかって、要領よく動くかという教訓。最終的なゴールと誰が嬉しいのかを明確化し、相手の視点に寄り添って共感を得ることで、自分の目的を達成するためのどの手段をとるのか、と参加者から多くの意見がでました。

参加者からの話題として、以下3つが出ました。
①正論が通じず、モチベーションが下がったときの対処法
②部下の分も仕事をしてしまう上司、部下が育たない時の対処法
③育休復帰後の働き方と、技術・研究職への再選択

今回のトピックは、多くのビジネスウーマンが抱えている課題であるのにもかかわらず、ビジネス書を読むだけでは分からないことや的を射た回答を得にくい課題ですが、多くの視点で的確なアドバイスを得ることができました。早速今日からマネジメントに生かしたいと思います。

最後に、ちょうど部下を持ち始めるのと、子育ての最中が重なることもあり、Skypeでの参加はたいへん役立ったと好評でした。今後のロールモデルカフェでのますますのSkypeの活用も話題に上がっていました。
貴重な機会をいただいたことに感謝しています。

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