JWEF 20周年記念講演会と懇親会報告

点線

6月3日、2012年度総会に続いて、設立20周年を記念する講演会と懇親会を東京タワー隣の機械振興会館で開催しました。31名(会員30名、非会員1名)の参加者は、その歴史の重み、活動の軌跡を共有しながら、それぞれが現在置かれている状況とのかかわりを思いめぐらせているようでした。
以下、お二人のご講演、懇親会の様子、皆様から頂いた感想をご紹介いたします。

第2期運営委員長の上條茉莉子氏 ご講演

ICWES(International Conference of Women Engineers and Scientists)の受け皿として、数野美つ子さんや、田中咸子さんら、6名のグループで1991年頃から準備をスタートし、分野を超えたネットワークとして、20年ふた昔の歴史を重ねてきた。
最初に大変だったのが、会員集め。知っている女性の技術者に声をかけていく地道な作業を積み重ね、半年ほどで5-60名を集めた。また当時、情報交換をすると決まって、「女性技術者科学者の実態がわからない」ことが話題となった。東京女性財団の研究助成を得て、2000通、70項目のアンケート調査を行い、休日出勤してデータを集計し、子育て中の女性が28%といった実態を把握した。

JWEF設立後20年経ってはいるものの、男性の意識改革も不足、まず国や自治体において積極的なポジティブアクションも必要ではないか。そして、女性もいい仕事をしているだけではなく、社会に認められることも大切。女性技術者がもっともっと活躍することを期待している。


上條茉莉子氏 ご講演

第6期運営委員長の守屋朋子氏 ご講演

女性として「本質に沿った解決方法:最短距離で仕事をこなしたい」「働く目的を意識:最先端の技術に触れていたい」「女性技術者の支援:やっぱり仲間がほしい」といったことを常に考えてきた。そして、50歳からが本番。力を蓄えておく、健康を維持する能力も重要と伝えたい。
子どもがいたから営業力、人材育成力が身に付いた。子供がいて、時間が足りない分は部下に1.5人分働いてもらうことでカバーしてきた。チャンスを活かすために「Noと言わない」を心掛け、ずっと協力者を作り、協力者と歩んできた。

2000年にJWEF運営委員となり、会員を増やしたいが、女性技術者で管理職はどれくらいいるかもわからず、調査を実施した。女性技術者の数7%、女性技術者全体の中で63%がICT(Information and Communication Technology、全技術者中ICTは30%)といったデータが得られた。JWEFでもICT系の人が多い。
また、技術者自身も、自分自身のアイデンティティを外に出していくべき。研究者と技術者を区別して、組織の中で生きていく/技術者としての倫理観を持つ、技術者として決定権を持つ側に進出しよう。クォータ制等、女性登用はトップダウンで実施すべき。「これからの日本を支えるのはあなたです。」


守屋朋子氏 ご講演

20周年記念懇親会

20周年記念講演の後は、会場を移して立食の懇親会を開催しました。最近のJWEFの会合では珍しく、アルコール付きで、オードブル、お寿司、サンドイッチなど、さらにプチケーキ(さすが女性の集まり!)まで用意。先だって行われた総会で退任された10期運営委委員長の田中氏の乾杯の挨拶で始まりました。
会場には、創刊号からのJWEFニュース、調査部会で発行した過去の調査報告書、ICWESの報告書等を展示しており、JWEFの20年の足跡をたどることができました。

さすがJWEFはパワーのある女性技術者たちの集団です。歓談の時間には楽しそうな笑い声があちこちで響いておりました。歓談の後には元運営委員、運営委員長を務められた広瀬氏、青野氏、仁田氏、菅原氏、小浪氏、久坂氏および出浦氏から、それぞれご挨拶を頂きました。その後は、新しく11期から運営委員に参加した渡辺氏、永合氏、山口氏および長曽我部氏からの自己紹介を行いました。最後に11期の運営委員長渡辺氏が挨拶をし、短い時間でしたが、内容の濃い会員相互のコミュニケーションが図れた懇親会となりました。


20周年記念懇親会

20周年記念講演に参加された方々からの感想(一部)

上條様ご講演:
「設立時の貴重な話を伺えてとてもよかった。調査はこれからも今の大事な任務の一つだと思う」
「会員集めが大変だったことなど、苦労が偲ばれる」
「20年前設立期の熱意を感じずにはいられませんでした。先達の熱意とご苦労が現在の”リケジョ”の地位を築いてくださったものと深く感服いたしました」

守屋様ご講演:
「50歳からが本番、女性技術者のアイデンティティといったメッセージに感銘を受けた」
「女性技術者としての誇りが必要なのだな、と改めて感じました」
「わかりやすい、明確なお話で良かったです。アピールすることの大切さと、子供を育てながらの管理職の仕事のしかたがすばらしいと思いました」

過去の調査報告書

当日会場でご紹介した調査部が発行した過去の調査報告書は、在庫がある場合、送料はご負担いただきますが送付が可能です。ご希望される方はJWEFホームページのお問い合わせフォームまたはjwef_committee@nifty.comまでメールをお送りください。期限は7月末とさせていただきます。

1. 女性技術者 就労環境とライフ・スタイル 調査報告書、1993年11月
2. 女性技術者の育成・活用に関する調査研究報告書、1996年3月
3. 女性技術者 就労環境の変化 調査報告書、1999年3月
4. 女性技術者 就労環境とキャリア形成、2005年3月

▶ 「2012年活動実績」ページに戻る

Copyright © Japan Women Engineers Forum. All rights reserved.