JWEF奨励賞授賞式とシンポジウム(2011年9月11日開催)報告 前編

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9月11日(日)の午後、第3回目となるJWEF女性技術者に贈る奨励賞(JWEF奨励賞)の授賞式およびシンポジウムが、JR浜松町駅近くの東京都立産業貿易センター浜松町館で、46名の参加者を得て行われました。今年度の受賞者は、㈱リコーでコピー、プリンター、FAXの機能を備えた複合機の電気設計を担当されている長曽我部紀理子さんです。


長曽我部さんと田中委員長

第一部の授賞式では、冒頭、JWEF田中幸子運営委員長から、JWEF奨励賞のねらいと長曽我部さんの受賞理由が述べられました。長曽我部さんは、男性が大半の職場で、電気設計者として複合機の開発に携わり、特に、電力を可視化し電力削減を推進するシミュレーションツール開発という課題に取り組まれ、大きな実績を挙げられました。妥協を許さない姿勢や周りを巻き込むチームワークへの取り組みとともに、女性技術者のロールモデルとしても高い評価を得て、今回の受賞となりました。

続いて、本賞の基金を拠出いただいた東京大学男女共同参画室アドバイザーの都河先生より、日本の科学技術分野における女性の実態や危機感とともに賞に対する思いを添えて、お祝いのお言葉をいただきました。ご家族や職場のみなさまが見守る中、田中運営委員長から賞状と楯、都河先生から副賞が長曽我部さんに手渡されました。さらに、昨年の同賞受賞者である宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の永松愛子さんが駆けつけてくださり、花束と応援のメッセージをいただきました。

長曽我部さんの授賞記念講演では、2008年度にスタートした社内の電力削減活動についてご紹介いただきました。㈱リコーでは環境経営を全社方針に掲げており、複合機の電力削減は重要なテーマとなっています。当初、長曽我部さんはリーダーのもとで使用電力の見える化ツールの開発に携わりました。この電力削減活動は社内でも高く評価され、2010年度にはチームが社長表彰を受賞されています。さらに、2010年度からはリーダーとして、新しい機種に搭載するための活動に注力されています。複合機はいくつかのユニットに分かれており、それぞれに機械、電気、ソフトといった分野の異なる設計者が大勢います。長曽我部さんは、毎週の打ち合わせで電力削減案を検討し、場合によっては個別交渉で意義や目標について訴えることで、周りを巻き込んでいきました。このような地道で粘り強い取り組みを重ねていくことによって、当初の実績からすでに25%の削減を実現されたそうです。


受賞記念講演中の長曽我部さん

長曽我部さんが所属する電気設計の部門では、設計者140名のうち女性は長曽我部さんを含めわずか3名だそうですが、設計以外の業務担当の人も含め女性ばかりで飲みに行ったり、休みの日には海外旅行にでかけたり、仕事以外の時間も十分楽しまれている様子でした。

将来的には人と人との「つなぎ」となる仕事がしたいと締めくくられた長曽我部さん。その静かな情熱と真摯な姿勢がこれからも周りを動かす原動力となって、チームとしてさらに大きな成果を導くことになるだろうと感じました。

以上 (文責)JWEF運営委員・西田

同日開催された、第二部のシンポジウム・科学技術振興機構(JST)低酸素社会戦略センター主任研究員の田中加奈子様ご講演「明るい未来に向けて〜省エネ、次世代エネルギーの役割」のレポートは、後編として後日ブログに掲載します。

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