JWEF土木見学会:外環自動車道(千葉エリア)の開削工事見学<報告>

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JWEFでは社団法人日本土木工業協会のご協力により1999年から土木見学会をほぼ毎年開催していますが、10回目となる今年は、2010年11月20日(土)に千葉県松戸市の北総線矢切駅から徒歩10分ほどのところにある東京外かく環状道路の工事現場を見学させていただきました。

待ち合わせ場所から土工協の永山様、(株)大林組の遠藤所長他の皆様にご案内いただき、現場にある事務所の2階の会議室に参加者16名(会員8名、一般6名、学生1名、お子様1名)が集合しました。
席につくと、東京スカイツリーが中央にそびえている写真が載ったフォルダーに様々な資料が用意されていました。フォルダーは作ったばかりで、この日のために取り寄せてくださったとのこと。

まず永山様から2002年にスタートした「100万人の市民現場見学会」についてご説明があり、続いて遠藤所長から工事の概要について説明いただきました。外環自動車道は40年前に計画された首都圏3環状(図参照)の1つで、開通によって都心の渋滞緩和が大いに期待されています。今回見学した千葉外環は2015年の全面開通を目指しているとのことでした。昭和44年当初の計画では高架構造であった高速道路部を地下に埋め込み、地上に国道部と植樹帯、副道などを配置する構造に変更して工事を進めています。


図 3環状

(株)大林組の古川様からは具体的な工事の手順と現在の状況についてご説明いただきました。これから見学する場所の様子がだいたい分かったところで、各々ヘルメットをかぶり外に出ました。工事は国道部の高さまでの掘削が終わり、さらに高速道路部の掘削を進めているとのことでした。

近隣の住民の皆さんも使われるという仮橋の上から現場を見ると、きれいにならされた土の上にところどころコンクリートの塊がころがっていました。ここは元々住宅地であり、掘削したところからコンクリートのごみがたくさん出るそうです。そのままの状態では土を捨てることができないため、ふるってコンクリートごみを除いてから10tや11.5tのダンプに積み、東京港の建設残土の搬入先に運んでいるそうです。現在、建設工事で発生した土は埋戻しや埋め立てに再利用するなどリサイクルが進んでおり、羽田沖合の工事にもこうした残土が使われたとの説明がありました。

掘削したところは土が崩れないように土留壁が並び、キャリアアンカーが打ち付けられていました。土留壁は3〜12cmの木の板で、加重によって厚さを変えているそうです。その板を固定するアンカーも場所によって10〜7,80tの力で土留壁を引っ張っているとのことでした。


写真1:仮橋の上で遠藤所長の説明を聞く参加者

松戸市民の1/3が利用する水道やガス管が下を通っているという仮橋を通り抜け、草木で整備された歩道を経由して再び現場へ降りて行くと、間もなく正面に巨大な高速道路部とそこへ向かう坂が現れました。そのスケールの大きさに参加者からは感嘆の声があがりました。


写真2 高速道路部への坂

約1時間の見学を終えて、初めに集合した会議室に戻りました。お茶をいただきながら、最後の30分は参加者からの質問に答えていただきました。

この現場ならではの苦労する点としては、住宅地がすぐそばにあるため、騒音、振動、埃などに気を遣うとのことでした。工事時間は8〜17時だそうですが、そういう意味で17時には門を閉めてしまうとのことでした。門に立つガードマンは、住民のみなさんへの挨拶を励行しているそうで、周りの方々に安心していただくための気配り、心配りが行き届いていると感じました。実際、見学を引率いただいているときも、遠藤所長が若い家族に声を掛けられていて、率先して住民のみなさんとの会話を大切にされている姿を拝見しました。

今回はお天気にも恵まれ、知識の習得だけでなく、ダイナミックな現場の雰囲気を存分に堪能することができました。(株)大林組の皆様のあたたかいおもてなしが印象に残る見学会となりました。

文:JWEF運営委員 西田

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