第二回定例会 JWEF親子見学・体験会 報告

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8月22日(日)、(財)神奈川科学技術アカデミー(KAST)にてJWEF第二回定例会(親子見学・体験会)を開催いたしました。第二回定例会は、子どもが『ロボット工作をしながら、動かすしくみを知ろう』(KAST主催)に参加している間、大人は『光触媒ミュージアム見学&高度計測装置で観察体験』にて最新科学技術を学ぶという、二部構成のプログラムで実施しました。特に後者のプログラムは、JWEF会員のためにKASTが特別に企画して下さったもので、スタッフの方の熱いトークを聴きながら、普段は見られない精密機器の数々を見学できる貴重な機会でした。当日は、子ども対象プログラムには小学4年生から中学3年生の子ども5名、大人対象プログラムには子どもの保護者や一般・学生を含めた大人14名が参加し、熱心な質問あり笑いありの大変楽しい充実した会となりました。ここでは、大人向け定例会『光触媒ミュージアム見学&高度計測装置で観察体験』のご報告をいたします。

 定例会当日、大人は高度計測センター2階の部屋に集合しました。そこで概要説明を受けた後、精密機器のある1階へ移動しました。まずそこで驚きが!その際に乗ったエレベーターの最大積載荷重は、なんと3トンもありました。大型精密機器の運搬用に使うとのことで、普段触れることのないスケールを体感しました。1階へ移動した後は、機器が設置してある実験室を廻り、使用方法や実験デモを見学しました。

見せて頂いた機器は、走査型X線光電子分光分析装置、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、金属顕微鏡、デジタルマイクロスコープ、マイクロフォーカスX線検査装置、電界放出型分析透過電子顕微鏡(FE-TEM/EDS)などなど・・・これらの機器以外にも、各実験室には、光学から電子・金属まで様々な顕微鏡が充実していました。スタッフの方の説明によると、「機械の部品サイズが小さいために、精密機器による点分析のニーズが増加しているが、故障箇所についてまず大まかな観察・状況予測を行い、その後に詳細な点分析を進めていく方法をとる。様々なニーズに応えていくには多様な顕微鏡を揃えておく必要がある。」とのことでした。多種多様な顕微鏡の中で今回一番のお勧めは、『トリプルビームFIB/EDS(FIB-SEM-Arイオンミリング複合装置)』!TEM(透過電子顕微鏡)用試料の作製や微少領域の断面観察に利用できる精密機器ですが、この機器を所有する機関が少なくなかなかお目にかかれないそうです。貴重な体験をさせて頂きました。

精密機器を堪能した後は、同じKAST1階にある光触媒ミュージアムで館長のお話を伺いました。光触媒の定義は「光が当たった時にそれ自体は変化しないが、反応を早めたり遅くしたりする物質」。1967年、水中で光触媒(酸化チタン)に光を当てると水が酸素と水素に分解することが発見され(本多・藤嶋効果)、現在クリーンエネルギーによる環境浄化・省エネ分野等で期待される物質です。なお、酸化チタンの他にも、光を吸収して水と二酸化炭素からデンプンと酸素を作り出す点で、植物の葉も光触媒と言えます。ミュージアムでは、光触媒の代表的機能である「酸化分解力」「超親水性」を展示で体感しました。

光触媒を含んだプレートと含まないプレートに青いインクを押して紫外線を照射すると・・・光触媒を含んだプレートでは、青いインクがみるみるうちに消えていきます。この現象は、プレート上で発生した活性酸素が、青いインクを二酸化炭素と水に酸化分解して起こるそうです。また、ミュージアムのガラス窓にはめ込まれた光触媒を含むガラスに水を流すと・・・光触媒を含むガラスでは、光が当たると表面が水となじみやすくなり(超親水性)、油やよごれが水と一緒に流れるというセルフクリーニング効果が観察できました。今回実施した大人向け定例会は、KASTの理事長、専務理事をはじめ、スタッフの方々のご協力のもと実現することができました。今後もJWEFが活動していく中で、また機会がありましたら訪れてみたいところです。

(財)神奈川科学技術アカデミー(KAST)HP http://www.newkast.or.jp/index.html

文:JWEF運営委員・事務局  東京農工大学 岩淵 祐子

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