2007年度6月定例会の報告

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2007年度の総会に引き続き、下記のとおりに第1回定例会としてJWEFアドバイザーボード・メンバーをパネリストにお招きして、現JWEF運営委員長の菅原香代子の司会でパネル・ディスカッションを開催しました。

【日時】 2007年6月9日15:00〜16:40
【場所】秋葉原ダイビル(秋葉原コンベンションホール)5階カンファレンスフロア 5Cセミナールーム
【テーマ】女性エンジニアの過去・現在・未来

【ディスカッション概要】
各パネラーの自己紹介、過去のキャリアのご紹介。女性技術者として歩んできた過程で、難しかったこと、楽しかったこと、自分が信じてきたことは何か? また現在の日本における女性エンジニアの現状について思っていること、心配していること、何が問題と 思っているか。これからの女性エンジニアは何を目標にすべきか?何を大切にしてゆくべきか?社会との関係はどうなるか?パネリストは下記のJWEF アドバイザーボード・メンバーの方たちです。

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青野厚子第7期運営委員長 (株)アスキング 代表取締役
1969年 東京女子大学理学部数理学科を卒業
1970年 住友化学工業株式会社に入社してプログラマになる。
1976年 住重経営システム株式会社に入社
1979年 有限会社設立
1981年 株式会社アスキングに変更
当初は、ワークステーション(UNIX)を使っての技術系ソフトウェア開発をする。現在は、放送と 映像のソフトウェア開発を中心に受託。特にデジタル放送の黎明期から、放送ソフトを手がける。  今後は、映像(動画)処理技術を駆使したソフトウェア開発を行う。

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内永ゆか子 日本IBM 技術顧問(前専務執行役員)

 1971年、東京大学理学部物理学科卒業後、日本IBMに入社。エンジニアとして小型コンピューターやソフトウェアの開発に携わり、1995年大手コンピューター業界初の女性役員として取締役に就任。 同年、IBMアジア・パシフィック、クロス・インダストリー部門のジェネラル・マネージャーを兼任、1999年に設立されたソフトウェア開発研究所長に、2004年より現職。1998年に設立された女性社員人材活用に関する社内諮問機関の「ウィメンズ・カウンシル」の座長を務め、2005年より J-Win として 多数の支援会社と共に活動中。1997年、総理府男女共同参画審議委員に、1998年、労働省中央労働基準審議委員に、1999年、厚生省厚生科学審議委員に、2000年、文部省中央教育審議委員に、2003年より内閣府男女共同参画会議議員。1999年、米国WITI(ウィメン・イン・テクノロジー・インターナショナル)殿堂入り。2002年、ハーバード・ビジネス・スクール・クラブ・オブ・ジャパン ビジネス・ステーツウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞。

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國井 秀子 (株)リコー 常務取締役
昭45お茶の水女大・物理卒.昭58テキサス大学Ph.D. 昭57(株)リコー入社.以来ソフトウェア分野の研究開発責任者.平17常務執行役員.日本学術会議連携会員、日本データベース学会副会長、IEEE Japan Council Women in Engineering Affinity Group 副会長. 日本女性技術者フォーラム(JWEF)創立メンバー、日本女性科学者の会会員

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都河 明子 第5期運営委員長
東京医科歯科大学教授INWES-Japan Chair 東京大学理学部・生物化学科卒業 東京大学医科学研究所 技官・助手 外資系製薬会社・研究開発本部企画部・課長 東京大学理学系研究科・理学部  講師 2001-:東京医科歯科大学留学生センタ-・教養部 教授 2007年4月17日 文部科学大臣表賞・科学技術賞(理解増進部門)受賞。 受賞タイトル:科学技術分野における女性研究者の能力発揮と育成)

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守屋 朋子 第6期運営委員長 ㈱SSLパワードサービス 代表取締役社長
 1967年お茶の水女子大学理学部数学科を卒業し、日本専売公社入社。 その後、㈱日本ソフトウェアを経て、1972年に㈱富士通ソーシアルサイエンスラボラトリー入社。1982年に同社管理職、1998年に富士通グループで女性では初めての同社取締役となる。2005年に定年退職後、関連企業である㈱SSL パワードサービスの代表取締役社長となり現在に至る。2005年からは金沢工業大学大学院の客員教授を兼任。2002年から2年間JWEFの運営委員長を務めた。

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パネル・ディスカッションでのおもな発言は以下のとおりです。
菅原:ご自身の経験で、昔と今の大きな違いは何でしょうか?
國井:昔は組織の壁をどう打ち破るかが難しかった。アサインメントなどの、キャリアアップのパスにどう女性を入れていくかが問題であった。
内永:女性自身が気後れして男性のサブとして考えてしまったことがあったが、良く勉強した後には、自分に自信を持って発信できるようになった。如何にネットワークを作るか、如何にリーダーシップを取るかが重要である。
菅原:そういえばパネリストのうち4名は女子大卒ですね。これは女子大で自分が前面にたつ経験をしたことの影響があるかもしれませんね。
都河:アメリカの女子大は良妻賢母を育てるのではなく、リーダーシップを重要視している。
守屋:業種別女性管理職比率などのGender統計が必要である。
内永:J-Winではジェンダーだけではなく、ダイバーシティの観点から企業向けのベンチマークを実施する。
青野:会社ではなく、自営では男女の差はないと思う。実際、サブの感覚を持つ余裕はなかった。今は転職も多く、流動性が高まっている。
國井:女性が活躍することをサポートする制度は、十分ではないものの整ってきている。あとは運用の問題。
菅原:若い女性技術者へのメッセージをお願いします。
内永:個人として: 育児休職中に勉強するなど、次のチャレンジにいつも準備OKにしていてほしい。企業としては、どこでも働ける環境作りをして、成果で評価する。
都河:企業には、育児中はポイント付加するなどして欲しい。
内永:育児中の人の優遇は反対。本人も甘え、周囲も甘えさせたという感覚になる。優遇ではなく、大学院留学や他の休職も含め、企業の許容度を高めることが重要ではないか。
守屋:個人の努力には限界があるので、国が率先して数値目標をセットするなどして欲しい。
青野:自分の会社では、自分のこととして捉えられるように、「あなたが明日片足がなくなったらどうするか?」と問いかけている。
内永:グローバル化の中で、モノカルチャーが一番の問題。いろいろな価値観がミックスしてこそ新たな価値が生まれるというダイバーシティの第一歩が女性。企業に対しては、女性を保護して欲しい・・というアプローチよりも、企業の成長のためには、第一歩として女性の活用が重要というアプローチ。個人には、ネットワーク形成をすすめたい。
守屋:女性活用を考えていない会社があるので、データで示したい。
青野:偉くなると自分で物事を決められるようになるので良い。時間で計られる仕事はすぐに変わったほうが良い。

菅原:会場からのご質問を受けます。
Q:皆さんHappyのようだが、その秘訣は何ですか?
A:都河:今が一番良いと楽観的に思う。
國井:ニーズを考え、対応してきた。ポジティブシンキング。
Q:テクニカル系の管理職になると実験ができなくなるので嫌だという人がいるが・・・
A:守屋: 技術者と研究者を混同してはいけない。技術者はチームワークが価値を作り出す。階段を上ってこそできることがある。ロールモデルがいると変わるのではないか。
國井:Decision Makingができるなど、楽しさやメリットを知らせると良い。
菅原:大事にしてきたポイント、若い女性技術者へのエールをお願いします。
青野:苦しいときには「朝の来ない夜はない」と考えて
内永:せっかくい生まれてきたんだから自分の夢を実現してください
國井:新しいことにチャレンジして
都河:3C(4C)Change/Chance/Challenge/(Charming)
守屋:長期的視野を持って頑張れ

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